詩歌藩国日報

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zoom RSS 君の見た戦争

<<   作成日時 : 2007/01/09 21:45   >>

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「また戦闘が始まるか…。新型I=Dの開発も進んでいるようだな。私にはI=D設計の才能はないが,I=Dを操縦することは出来る。我が藩国,いやわんわん帝国の全国民のため,今度の戦いに負けるわけにはいかない。前回のように何もやれないまま撤退することようなことは許されないのだ。」

静かの戦いへの闘志を燃やす伊能。あまり自分から多くを話すことはないため,仲間からは何を考えているか分からないと言われることが多い伊能であるが,その心の内には誰よりも国のことを愛する心があった。

「それに戦争中ではゆっくりと本を読むことも出来ないからな。」

…まぁ、その心の中には自分の趣味に関するものも多少あるのかもしれない。

──伊能 誠人 90107002
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 新型I=Dの開発という知らせが、国中を沸かせていた。
しかし噂話に疎い私が、戦争が始まるらしいと言う事を知ったのは、新型I=Dの開発が終わりテスト飛行が始まる頃だった。
 格納庫の片隅で備品整理をしていた私は、気持ちが一気に下降した。
さっきまで、ご機嫌にゆらゆらとリズムを取っていた尻尾が、ピタリと止まった。
 先の戦争でちりぢりになっていた国民がすこしづつ集まってきて、やっと、皆で笑えるようになったばかりなのに。何より、頭を撫でてくれる優しい人たちが、傷つくのが嫌だと思った。心も体も。

 私は、人に構われるのも構うのも好きだ。道を走っている時に、「転ぶなよ。」と、声をかけてもらう。買い物帰りのお婆さんの荷物を持ったら、林檎を分けてくれた。皆、優しい。この間は、小さな子に花冠をもらった。春の香りがする。「ありがとう。」って言って、お返しに歌を歌った。
 毎日の些細なやり取りが、大切だった。

 でも、知っているのに知らないふりは出来ない。皆は見ていなくても、自分は自分の事を見ているから。ならば、出来ることからしよう。そう思い直した。仕事が終わったら材料を買いに行って、チョコチップクッキーを焼こう。そして、皆の所に配りに行くんだ。甘い物を食べたら、元気が出るから。
 まず、駒地さんの所に行こう。「この間はスパナをぶつけちゃって、ごめんなさい。」って、言って持って行こう。そう気持ちを切り替えると、私は尻尾に力をいれた

──花陵 01107002
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新型I=Dの開発という知らせが国中を沸かせていたちょうどその頃。

 パイロット志願兵である士具馬 鶏鶴は普段どおり今日のご飯にありつく為にアルバイトに勤しんでいた。
この男、この国に来る前は流浪人でありもっと平たく言えばただの宿なしであった為この詩歌藩国の正式な国民になってからも相変わらずの貧乏暮らしで兵士としての訓練をこなす一方熱心なアルバイターとしても名が通っていた。
この時は酒場での皿洗いの真っ最中。この酒場は彼がこの国で始めて働いたアルバイト先で彼の熱心な仕事ぶりに酒場の主人が目をかけてくれ、それ以降ずっと彼を雇ってくれている。
「えーっと、ここのが済んだら次は犬の散歩で、それから次はクリーニング屋さんのアルバイト、それから・・・。」
などと頭の中でこれからの予定表のチェックをしていると
「おーい、士具馬君。今日はもういいよー。」
と主人の声が聞こえた。
「え?どうしたんですか、マスター。夜の仕込みにはまだ早いんじゃないですか?」
「いや、今日はもう店じまいなんだよ。ちょっと午後から用事があってね。だから今日はもう店じまい。」
「あ、そうなんですか。それじゃ今日はもうあがらせてもらいます。」
(お、ラッキー。次のバイトまで時間がある。久しぶりにのんびりできるかも。)などと小さく心の中で万歳をしていると、
「はい、お疲れ様。これが今日の分ね。」
渡された封筒を見てみるといつも通りの金額が収まっていた。
「マスター、いいんですか?今日はいつもより働いてないのに。」
「いいよ、いいよ。いつも頑張ってくれてるし。それにパイロットの卵の士具馬君にとっては今日は特別な日だしね。」
(ん?特別?何かあったっけ、今日?)
「特別な日?何かありましたっけ、マスター?」
と思わず浮かんできた疑問を口に出すとマスターはきょとんとした表情を浮かべながら
「あれ?士具馬君知らないの?うちの国で正式に新型I=Dの開発が開始されたって。今うちの国じゃこの話題で持ちきりだよ?士具馬君、新聞読んでないの?」

さっきも言ったが士具馬 鶏鶴は本物の貧乏人である。新聞なんてとってる訳がない、それ所か毎日毎日アルバイトに追われる生活をしている彼に時勢に詳しくなる余裕なんてまるでなかったのである。まさしく貧乏暇なし、金がなければ情報にすら事欠くという典型的な具体例であった。

「そうだったんですか、いやー全然知らなかったです。私は新聞なんてとってなかったんで。」
「なるほど、どおりでパイロットの卵なのに落ち着いてるわけだ。まぁ、とにかくこれはお祝いだからもらっておいてください。」
「ありがとうございます、それではお言葉に甘えさせていただきます。」
心の中ではドンチャン騒ぎの大騒ぎになっているにも関わらずそんな様子は少しも出さずにいる辺りアルバイターとしての常識が身に染み込んでいるらしい。
「では、今日はありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。」
「はい、お疲れ様。今後ともよろしくね。」

 店を出て、走り出したい衝動を抑えながらなるべく自然に振る舞いながら自分の部屋を借りているアパートまで帰り自分の部屋に戻った。
玄関のカギを閉めた途端抑えていたものが爆発した。つまり叫んだのだ、やったー!と。
それからは頭の中が自分の乗れるかもしれないロボットの事一色だった。考えるだけでついつい顔が微笑んでしまう。傍からみたらモヒカン頭の大男がニヤニヤしてるのだから気味の悪い事このうえない。
それからひとしきり悶えた後、どこか誇らしげに
「師匠、私がんばりますよ。絶対。」と呟いた。

──士具馬 鶏鶴 90107002

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